気管支鏡検査

 「ん〜〜、3b(3はローマ数字)と言うのは、大きなものじゃないけど腫瘍みたいなものがあるということなんです。ちょっと辛いかも知れないけど気管支鏡検査を受けてもらいましょうかね。ね、どうします?」
 3/28のことである。私の痰検査の結果を見ながら医者はそう私に問いかけた。
 「もう少し様子を見ることもできるけど実際に見てみたり細胞を取って検査したりした方がいいと思うのですが…」。さらにそうつぶやいて私の顔をのぞき込んだ。

 「はい、やります」私はこう答えるより他なかった。その医者の口調からその気管支鏡検査がどれほどつらいものか想像できたが、そんな事を心配してる場合でないと思った。覚悟を決めなきゃ…。
 そうやって予約した気管支鏡の検査、その日が今日だったのである。

胃カメラよりつらいと言う。あのファイバースコープと言うにはあまりに太い胃カメラが気道を通って肺の中に入るなんて事など想像しただけで息苦しくなるではないか。医者の話では胃カメラのより太いと言うし、入れてる時間も長いという。ネットでも調べられたがなるべく知らない方がいいと思った(・・;)。
http://www.osaka-med.ac.jp/deps/in1/res/bfs/BFSsetsumei.pdf

 検査の時間の一時間も前に来いと言われた。処置室で血圧や体内酸素量(人差し指で)を測ったあと、まず両肩に注射。そのあと喉を麻酔するのに吸入。舌を自分で引っ張り出しながら喉の奥に吸入器を突っ込む。ガーゼを三枚使った。そのあと検査室へ車いすで連れて行かれる。車いすに初めて乗った。運転者に身をゆだねる感覚は独特なものがあるものだ。
 検査室でも待ちかまえてた医師にトドメの麻酔を三度も喉の奥にスプレーされる。もう感覚はとうになくなっている。つばを呑み込めない。そうやってやっとベッドに横になった。仰向けに寝て顔に目隠しをされた。目が見えないとあとはどんな事がされてもよくわからないもので、胃カメラの時とはだいぶ違う。内視鏡の太さなんてわからない。少し差し込まれてからあの猿ぐつわ(みたいなもの)をはめる。何か細いものが喉に入っていって時々奥で薬品が注がれたような音がする。咳き込んだ。医者が「ごめんなさい」と言った。普通と違う苦しさだった。でもこれ一回だったのが幸いだったと今思う。医師が一人で看護師一人…胃カメラと同じだ。大きな機械がそばにあって写真を撮ったり映像をのぞき込んでいるようだった。「もう少しですよ」と医者の声、それからまもなく「終わりましたよ」。ほんの十分ぐらいだったと思う。ほっとした。こんなに短い時間でそんなに苦しいこともなく終わったのだ。
 すぐに医師の話が聞けた。「はっきりとした腫瘍だとかガンだとかはみつかりませんでした。ただれがみられたので少量を採種して検査することにしました。」これはとりあえずほっとしていいんでないか(^^;;。よかったよかった。
 身体は重かった。喉はなんとなく開きっぱなしと言う感じでひりひりする。そのまままた車いすに乗って処置室に帰りそこのベッドで二時間休んでいた。足がふらつくから車いすだったんだけど歩けないほどじゃないので、その間勝手に起きあがってトイレへ行って帰ってきたら看護師らが大騒ぎになってた。「ついて行くから言ってくださいよ!」としかられた。
 帰りには車の運転はできないという。最初から厳重に言われてた事項だ。オッカアに運転させて帰路につく。


 これから気管支鏡検査を受ける人の事を考えて少し詳しく書いてみた。参考になっただろうか。そんなにビクビクする事じゃない。胃カメラ並みに気軽に受けられる検査だと私は思う。